骨髄移植の合併症としてGVHDがあります。

ドナーのリンパ球が患者さんの身体に入るということは、他人の身体に入るということですからよそ者とみなして臓器などを攻撃してしまう免疫反応のことをGVHDと言います。

GVHDは適度に症状が発症すると、移植後に残存しているがん細胞も攻撃するので再発が少ないと言われています。しかし、重症のGVHDは治療が難しい合併症なんです。

20歳代の男性で骨髄移植後に、皮膚と腸管に急性GVHDが強く出てしまった患者さんがいました。

皮膚は段々全身やけどのように皮膚がドロドロになってしまったので疼痛管理のために鎮痛剤を投与し、傾眠状態にしていました。

皮膚は乾燥させないようにと指示があったので、毎日ステロイド剤入りの軟膏をたっぷり塗ったガーゼを全身に貼っていきました。

毎日身体を拭く時にガーゼも一式交換するのですが、タオルで拭くことはできないので人肌のお湯をかけて古い軟膏はできるだけ綺麗に取るようにして新しいガーゼを貼っていました。

背中にもガーゼを貼らないといけないので、看護師一人が患者さんを横にして支えて残りの二人でガーゼに軟膏を塗ってしわにならないように貼って、としていると一時間程かかりました。

皮膚に負担がかからず、床ずれにもならないように常時空気で動いて圧が分散されるマットレスを使用しました。

また腸管GVHDのために下痢便や血便が常に出てしまうので、始めはオムツで対応していましたが皮膚のGVHDはお尻にも出てきていたので肛門に尿道留置カテーテルの太い管を入れて便が自然に出るようにして肛門周囲や臀部の皮膚を守るようにしていました。

皮膚は一進一退という感じでしたが、便は落ち着いてきていました。しかししばらくするとこの患者さんは亡くなられてしまいました。

GVHDという合併症が患者さんを苦しめて、しかも亡くなってしまうなんて、骨髄移植の難しさを痛感しました。